Essay [Concepts under construction]

【連載エッセイ】

概念工事中

長野智夫


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■2001/9/8 【復活】
今日から復活。でもしばらくは誰も気づかないだろうけれど。
前述の『動物番長』は、NINTENDOゲームキューブ用のソフトとして作り直され(内容は同じ)、発売されることになった。
めでたしめでたし。

■2001/9/23 【多様性】
『ペヨトル興亡史』という本を読んでいる。
十年ほど前、高校生とか大学生のときは『夜想』とか『WAVE』なんかのアングラな特集を見て、そういう世界にドキドキしていた記憶がある。
その頃は、そういう世界というのは確実にあって、それなりに世間のどこかから評価を受けていて、経済的にもそういう領域があるのだと、何も疑問に思わずに考えていた。
しかし、まあ社会に出て何年か経ち、その手の本を書店などで見かけると、「これって誰が買ってるんだろう?」と思ってしまうようになっていた。
「まあ、最高行って五千部くらいかな…」とか。
でも、本は出続けているんだから、需要はそれなりにあるんだろうなと思っていた。
しかし、やっぱりそうでもないみたいで「誰が買うんだろう?」と心配になるような本は案の定誰も買っていないのだということを、ペヨトル工房が解散するという情報を聞いたときに実感した。
本だって、ゲームと同じなんだなあと思った。

■2001/9/24 【元気をもらう場所】
僕の最近の元気ポイントはこの辺だ。
mnemonic spinn SR
 ここを読むたびに、僕もいつかは、こんなさわやかな文章を書ける男になりたいと思ってしまう。
松岡正剛の千夜千冊
 これは凄い。一日一冊の書評(かなり読み応えがある)を、千日に渡って書き続けるという離れ業が行われている。
 本のジャンルも非常に多岐に渡っていて、毎日本当に勉強になる。
 しかもこれ、著者にとってはお金になる仕事ではなくて、無料で公開してしまっているのがまたとんでもないと思う。

■2001/9/26 【やってみたい仕事】
最近やってみたいと思う仕事は、「こんなもん、どう考えてもゲームにならんだろう」というものを、無理矢理ゲームに仕上げて面白くするというような仕事だ。
しばらく“ゲームではないゲーム”みたいなものばかり作ってきたからだろうか。
ちょっとだけ、「何だってゲームになる」「どんなものだってそこそこ面白くできる」という自信のような錯覚が出現してきている。
腕試しみたいな感じで、やってみたいんだよな。まあ、今やっている仕事も実は似たようなものかも知れないけれど。

■2001/9/27 【最近のテーマ】
今日買ってきた糸井重里の『インターネット的』という本は、とても面白そうだ。
カバー裏の紹介文がまたいい。
“「IT時代のビジネスモデル」を狙う前に、幸せ観、歴史観、世界観を宣言しなかったら、ものを作ることも売ることも始まらない。”
なんとなく内容は予想できる。以前、イトイ新聞の面白い記事のことを書いたが、そこで見えてきそうだった新しい時代の社会像みたいなものが語られているのだと思う。
最近、僕の主な関心はそこにある。この辺のことを考えているときが、いちばんわくわくする。
自宅の本棚でも、『知の編集工学』『ほぼ日刊イトイ新聞の本』『ゲームの話をしよう』『フラジャイル』『サブカルチャー神話解体』が寄ってきていて、そのコーナーに“新時代の経済文化”というラベルが貼られている。
こういうことと、新しいゲームの企画なんかを同時に考えることができるようになれればと思う。

■2001/9/28 【スパイラル】
話は変わるが、しかし本当にソフトが売れなくなったと思う。
最近、任天堂ゲームキューブが発売されたが、同時発売タイトル3つの内の2つの売り上げが二万本と三万本なのだ。
まあ個人的には、それらはそんなに面白いものではないと思っていたので「まあそんなものかな…」とも思っていたが、よく考えてみたら、NINTENDO64発売のときは、『羽生将棋』とかでも10万本は軽く越えていたはずだ。
どうなるんだろうなあゲームは…。

■2001/9/30 【世界観】
『インターネット的』を読了。
内容を乱暴に一言でまとめると…、
「“ある理念で何かをする人と、その理念に共鳴してリアクションを返す人とがつながっていく”という形が、これからの生産と消費(を含めたすべて)の基本形になる。そこで豊かな社会を作っていくためには、一人一人が自分の持つ理念(価値観)をしっかり考えていくことが重要だ。」
ということだろう(ってこう言ってしまうと味気ないが、本当はもっといろんな話題を含んでいてそっちの方が面白い)。
生産するときも消費するときも、自分の世界観や幸せ観が必要になるということだ。
この辺については、確かに僕ももっと考えてみたいと思う。


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 日本偽現実工学会会報 [The Bulletin of Japanese Fake Reality Engineering Society]
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