Essay [Concepts under construction]

【連載エッセイ】

概念工事中

長野智夫


【2000.12】
【2001.01】 【2001.02】 【2001.03】 【2001.09】 【2001.10】 【2001.11】 【2001.12】
【2002.01】 【2002.02】 【2002.03】 【2002.04】 【2002.05】 【2002.06】 【2002.07】 【2002.08】 【2002.09】 【2002.10】 【2002.11】 【2002.12】

■2002/3/1 【日々是作業】
1ヶ月くらい前から、アクセス数が1日10くらいになったので、読者が増えたのかと思っていたが、実は更新しない日の方がカウントがよく上がっていたりするので、原因はたぶん同じ方が何度もアクセスしてくれているためだろう。
それはそれでとても有難いことなので、うれしく思うことにした。
しかし、最近は日々考えることに進展がないので、とくに書くこともなかったりする。
最近の発見といえば、自分がかなり大雑把思考だということがわかったり、作業の細かい効率化をあまり考えない人間だということがわかったりしたくらいだ。
そういえば、本の紹介の1回目と2回目はそれぞれ『誰のためのデザイン?』と『グローバル・ブレイン』だった。
『グローバル・ブレイン』は、ずっと昔、糸井重里が公演のネタにしていたのをあとで発見して、ずっとそのことを自慢したかったのだがその機会がなかったので、この機会に自慢したいと思ってその公演の一部を再現してみたりしたが失敗したという感じだった。
そのときは僕も17歳だったんだよな…。あと数年で倍の年齢か。すごいなあ。

■2002/3/3 【勘】
今日は会社で人がひけるのが早かった。
なので、先週書いた原稿をもとにトーク練習をしてみた。
しかし、なんか調子が狂っているのに気づいた。
やっぱり、こういうものは続けていかないとダメだなあと実感。
時事ネタなんかも取り入れながらやっているので、原稿も古くなっていたし。
その辺をちょっと直して、明日はやっぱり朝練をやろうと思う。
そういえば、今作っているものの情報が、こんどは「りぼん」に載った(笑)。
りぼんですよりぼん。影のプロデューサーの暗躍快調(笑)。影のプロデューサー、略して影プロ。
この人がまたスゴイくて。この前の会議では、ぜんぜんそういう職種じゃないのに、やたらと音楽の理論にくわしいことがわかったりして、サウンド担当者にそういうコトバをつかって相談していた。
社長がおどろいていたが、僕は前の会社でもそういう人を見ているので、この人もか!(笑)と思ったりした。
表現に関する、全方位的な興味というものが横溢している。
負けていられませんねえ(笑)。

■2002/3/5 【差異】
昨日は『たまごっち誕生記』を紹介した。
で、発見だったのが、会議で僕が話を始める前にはわりと仕事モードとかダラダラモードであっても、話を始めると、カチャッとその場のモードが切り替わって、聞き耳をたててくれるということだった。
これはすごい。今度からは、このモード変換を信じてわりとすんなり入っていけるように思う。
今のような、人がゲーム離れを起こしてしまっている状況だと、ゲームからゲームをたどってきてくれる人は少ないので、その人の生活とゲームのつながりをこっちからアピールしていかないと、お客さんがゲーム以外のものに流れていってしまう。
だから、これからはゲームと生活とのつながりというものを、新商品を作っていく上で重視しなければならない。
そういう、生活とゲームとのつながりを考えていく過程というのが、この本を読むといろいろ書いてあって、それで今読んでも面白いのだというような話をした。
この本はもともと社長から薦められて読んだのだが、社長が元バンダイの人なので、もう少し内実を交えた話を付け加えてくれた。
で、社長としてはこの本を読んで一番思ったことは「人生なにがあるかわからない」ということだったという(笑)。
僕がわりと生真面目に理論を抜き出そうとしているのに対して、やっぱり実際家っぽい結論だよなあと思いましたね。

■2002/3/8 【名プロデューサー】
今日は会社で「鬼武者2」を見た。いきなり、布袋寅泰のミュージックビデオが流れる。
そして主演は松田優作!(のポリゴンモデル)
カプコンのこのプロデューサーのやり口には注目していた。
ゲームと生活をつなげずに、ゲームはゲームのままにして、他の領域でゲームとお客をつなげようとしている。
しかし、もうちょっとなんとかして欲しいと思った(笑)。
そういえば、ファミ通に今作っているものの写真が載った。ちょろっと。1枚だけ。
フォローとかもとくになしで(笑)。

■2002/3/11 【デバッグ中に仕様を入れる日々】
って、マズイよなあと思う。若いなあとか。
マズイことをやって信用を失うと大変だということは、雪印とかXBOXとかの例で、実感しているのだけれど。
以前、宮本茂氏が「ゲーム作りで重要なのは、ボクサーなんかと同じで、とっさのときに左によけるか右によけるかの判断力だ」と言っていたが、このコトバが今効いている。
時間がないときの咄嗟の考えで面白さが大きく変わってくる。
一番いいのは、最初から正確な仕様を立てることだと思うんだけれど、これがなかなか…。
そういえば、今日は会社の予定がたてこんだため、本の紹介は来週に延期。
昨日一気に原稿を書き上げたので拍子抜けだったが、これで仕事のことを考える時間が稼げるので、結果的にはよかった。
ゴールデンウィークにマスターアップ休暇として11日間会社を休みにするらしい。
といっても僕はとくにやることもないので、次のラインの準備とか、本紹介の全体構想なんかを練っているのだろう。
あとは生態学的ゲームデザイン論インデックスというのを作ろうと思っている。つまり目次だけ。
さらに、ここからいろいろ発想法を考えようと思っている。実用につなげていくため。
最近プロバイダーのサーバーが調子が悪いらしく、「ファイルが見つかりません」と出たりしますけど、このサイトが突然なくなったと思わないで下さい(笑)。

■2002/3/15 【空隙】
デバッグが始まってだいぶ経った。そして今、そこに一瞬の空隙が!
自分が管理しているスクリプト関連で直せる部分はだいだい直すことができて、あとはプログラム側での対応がもう少し必要になっている。
仕様入れ込み最終版は明日。
となれば、明日1日はもうひとつ何か入れるために使うことができる。
というわけで、これからちょっと考えます。

■2002/3/19 【なんだかんだ言って】
まだ仕様を入れている(笑)。いや、笑い事ではない。
せっかくなので、ギリギリになって入れる仕様の分類を考えてみた。
1.オマケとしての仕様
2.粘着性を高めるための仕様
3.使い勝手を向上させるための仕様
本来、3→2→1、あるいは2→3→1という優先順位になるはずだが、2や3はこの時期にはなかなか思いつかない。
また、日々の作業に追われて、改めてゆっくり全体を見渡す余裕がなくなりがちだ。
そこで1ばかりが増えることになる。
しかし僕が今やっているのは、
0.なんとなく通りすぎてしまった点だが、さすがにこれはちょっとチープ過ぎやしないか?
というのがメインなので、それ以前の問題だと言える。
だが、まだそんなことやってんのと横槍が入ろうと、入れてしまった者勝ちなのだ。
それで評価が少しでも上がれば、結果オーライなのだ。
と思うことにしている今日この頃。

■2002/3/25 【遠いところへ】
いってしまった評価版。あとは天命を待つという感じだろうか。
といってもまだマスターアップではないのだが、クライアント社内の評価チームというところへ出すバージョンが今日で終結。
その評価によって出荷本数が決まるのだという。
とりあえずこれでひと段落で、あとはバグをひたすらつぶしていくだけだ。
クライアントのブランド力、それとキャラクターデザインをしている人の知名度などで、10万〜15万本くらい売れるのではないかといわれているが、僕としてはもっと、30万くらい行ってくれれば、自分たちの功績もあると誇れるのではないかと思う。
とにかく、これでひと段落。次に向けて動き始めるときだ。でもまだ当分、バタバタしているだろうけど。

■2002/3/29 【帰ってきた】
評価。結果はまあまあ。予想の範囲内の良い点数だった。
ゲーム月刊誌に情報が載り始めた。
デバッグはまだ続いている。
一部作り直せという声も上がっている。
発売予定はどうやら初夏が濃厚になっている。
次の企画の提案が始まった。
それとは別の継続中の仕事も動き始めた。
花見の時期が終わりかけている。
会社のホームページに本紹介の記事を連載せよと強く薦められている。
調子に乗って、やろうかななどと考えている。
このコーナーも日記からエッセイに戻したい(笑)。
千夜千冊で紹介された『考える/分類する』を読みたい。
この著者がちょっとカッコいいと思った。
『知の編集術』を通勤電車で再読中。
そんなこんなの今日この頃。


【2000.12】
【2001.01】 【2001.02】 【2001.03】 【2001.09】 【2001.10】 【2001.11】 【2001.12】
【2002.01】 【2002.02】 【2002.03】 【2002.04】 【2002.05】 【2002.06】 【2002.07】 【2002.08】 【2002.09】 【2002.10】 【2002.11】 【2002.12】
【目次に戻る】

 日本偽現実工学会会報 [The Bulletin of Japanese Fake Reality Engineering Society]
 *このサイトはリンクフリーです。無断転載は禁止いたしますが、無断リンクは奨励いたします。 postman@fake-reality.com