Essay [Concepts under construction]

【連載エッセイ】

概念工事中

長野智夫


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■2002/2/1 【遊コンプリート】
最近、工作舎のホームページで『遊』が通販されていることを知り、売っている分で持っていなかった号をすべて注文。
入手に成功した。これで第二期の1002〜1013までがすべてそろったことになる。
あとは1001『相似律』と第一期のやつが欲しい。第一期は表紙がメチャクチャカッコいいんだよな。
マスターアップしたら『薔薇の名前』をじっくり読んでみたいとふと思った。

■2002/2/3 【サービス】
実は昨日ムサビの通信教育部の説明会に行ってきたのだが、これが予想に反してかなりダメっぽかった。
通信教育の大学には必ず一定期間の面接授業(スクーリング)があるのだが、今回のシステム上、まともに行こうとすると夏季に連続でまるまる24日(しかも1日中拘束)かかることが判明。
どう考えても無理だという結論に至った。
これでは社会人の受け入れは難しいと思う。土日やれよ土日。
僕の母校とかも社会人向けの二部の広告なんかを電車に出していたりするけれど、普通5時に終わる会社などない。土日やれよ土日。
少子化を受け、生涯教育に進出する大学が増えているが、まだまだやる方の都合でサービスが構成されていると思う今日この頃。

■2002/2/4 【読まれた!?】
今日は本の紹介日だった。前日、前々日の深夜練習と当日の朝練はもう日課なので触れないことにする。
最終的にはアドリブでできるようになりたいのだけれど。
『イトイ式コトバ論序説』を紹介して、ついでにマルセル・デュシャンの『泉』の写真を見せ、次回の方角を予告して終わった。
わりと感触は良かった。が、そのあと、「尾辻克彦の小説って読んだことありますか?」と聞いてきた男がいた。
次にちょうど、赤瀬川原平の『東京ミキサー計画』を紹介しようとしていたところだったのだので、僕は思わず「う! 読まれたか?!」と驚いた。
実はわりと文化圏が近い人が身近にいたのだった。こういう発見もあるので、本紹介は始めてよかったと思う。
でも僕は尾辻克彦(=赤瀬川原平)の小説は読んだことがない。
マスターアップしたら、これも読んでみようと思う。

■2002/2/5 【小後悔】
前に紹介した『オデッセイ1971-2001』の読者アンケートを送ったら(すごい本が当たるかも知れないので)、コメントが工作舎のホームページに掲載されたっぽい(笑)。
こんなことなら、もっと頭がよさそうに見えるようなコメントを書けばよかった…。いや、それは無理だとしても、せめてつまらない見栄をはらずに普通に会社員と書いていれば…。ちょっと後悔。

■2002/2/7 【現実逃避】
あっという間もなく、時間が過ぎていく。
この連載もエッセイではなくてすっかり日記になっている。
実は今年の隠し目標の目玉だったムサビ入学計画が挫折。
デザイン力を磨いて、今の会社という基盤が突然なくなってもとりあえず大丈夫な体勢にしておきたかったのだけれど。年齢はこわいから。
目標は別のものに変更。
あと今は、「マスターアップしたらこれをやろうノート」をつけて現実逃避している。
いろいろ読みたい本も上げてみたら、やっぱり一昨年より考えていた生態学的ゲームデザインを補強するものが多かった。
やるぞ今年は。

■2002/2/8 【大きな風呂敷】
ただし、哲学があって実物がないというふうにはなりたくない(笑)。
一応僕らは、作ってなんぼ・売れてなんぼの世界にいるのだし、面白いものを作ることによって世界のしあわせ度を上げるのが目的なわけだから。
いちおう世直しのつもりなんだから。ゲーム作りは。

■2002/2/11 【心の余裕】
一応、『東京ミキサー計画』の紹介が終了した。しかし今回は一番難しかった。途中でつっかえて頭の中が真っ白になったりしたし。
こういうときにあわてずにサラッと流せるくらいの心の余裕を身に付けたいと切に思う。
余裕がないやつが何かやろうとすると、周りに気を使わせてしまうのでいけない。
どうやったら身に付くのだろうか?

■2002/2/12 【ハイテンション芸人】
昨日は赤瀬川原平の『宇宙の缶詰』をネタに「これを見ると、この世には社会的関係性に還元し得ない何か(つまりトトロ!)が存在することがわかる!」とか「自分と宇宙は表裏一体であるということが実感できる」とか「これくらい面白いものがあって初めて、この世が生きるに値する場所になりうる」とか、いろいろしゃべった。きっと、周りから見たらこのときの僕はちょっと逝っちゃってる感じがしただろうと思う。
でもいいんですよ。逝っちゃってても。物ができてくれば。
最近そう思い、サイエンス+仏教思想みたいな、以前ならちょっと敬遠してそうな本なんかも読んでみたいと思っている。
F.ヴァレラ(オートポイエーシスという概念の提唱者)の『身体化された心』とか。アフォーダンス理論とも関係してて面白そうだし。

■2002/2/16 【ピンチ通信】
本の紹介を始めるようになってから、なんか毎週ピンチを迎えているような気がするが、今回は最大のピンチかも知れない。
というのも、今日になっても原稿ができていないどころか、紹介する本が決まっていないどころか、こんな駄文を書いているありさまなのだから。
いったい僕は何の追い込みをやっているのかわからない。
どうしよう…。

■2002/2/18 【ゲーマーハンドブック】
結局、これにしようかどうしようかと思っていた本を出すことにした。
いとうせいこう監修の『ゲーマーハンドブック』という本だったのだけれど。
今日は朝少し早く起きて朝練をしただけだが、軽めの本だったのでなんとかなった。
話の組み立ての工夫次第で、本がどうだろうとどうにかなるということが判明。気持ちが楽になりましたね。
聞く方の意識もそんなに高くないし、これなら高橋名人の自伝本とか出してもいいんじゃないかという気がしてきた。

■2002/2/20 【ゲームの数学】
ゲーム作りに役立つ数学というと、ふつう、代数・幾何学だとよくいわれる。
しかし僕の場合、企画という職種のせいか、一番使うのがコンビネーションの計算だったりする。つまり確率論だ。
これは本当にちょっとやっといて良かったと思う。
僕は一応理系なのだが、付属校から上がったせいで、解析学や代数・幾何学などの勉強をかなり怠っていた。
とくにこの辺は積み上げが大事なので、途中で怠けるともうついていけなくなる。
だから、さすがにヤバイと思ってちょっと勉強を始めた高校3年で、別の体系として出てきた確率論はわりとすんなり入っていけたのだった。
本当はもっと奥まで進むといろいろ使える理論が出てくると思うんだけれど。
マルコフ過程なんか面白そうだし。

■2002/2/23 【世界の縁】
そういえば今作っているソフトの名前がファミ通に載った。
ああ、発売されるんだという感慨がわく。
前回は2年かけたものが結局闇に葬られたから余計そう思う。
いよいよ大詰めだ。と同時に、次のことも考えている。
しかしこれは、いろいろなところの思惑があって、結局どうなるかわからない。
以前触れた『オデッセイ』という本に、「世界の縁に立つ感覚」という言葉が出ていた。
どうなろうとも、そういう、世界の縁に立つようなことをやりたい。
そういうものにしていきたいと思う。

■2002/2/26 【棄権】
今回は珍しく2日前に原稿が上がったのだが、製作中のソフトが大詰めを迎えているため、練習の時間が十分に取れなかった。
また、会議(本の紹介をする場にもなっている)の雰囲気もそれモードになっていたので気が乗らず、机に常備してあった適当な本(以前にちょっと触れた『子供の大科学』)を30秒くらいで紹介して終わった。
なんか釈然としない気分も残ったが、こういうときもあると思うことにした。
今度のシリーズは、『たまごっち誕生記』→『サブカルチャー神話解体』→『東京ヘッド』→『バーチャロン・スキマティック』という流れで、「ゲームが持つ、生活に対しての機能」を解説(暗示?)していくつもりだ。
今現在、今後に予定している大きな山が2つくらいあって、ひとつは「理念は形を成す」という流れで、もうひとつは「イメージの源泉」というもの。そのあとにもうひとつ流れを作って、生態学的ゲームデザインを明確にしていきたいと考えている。
実際どうなるか分からないけれど。


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 日本偽現実工学会会報 [The Bulletin of Japanese Fake Reality Engineering Society]
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