Essay [Concepts under construction]

【連載エッセイ】

概念工事中

長野智夫


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■2002/5/1 【生態学的ゲームデザイン論インデックス草稿途中経過】
A.作品の背景
 1:世界状況からの要請
 2:社会状況からの要請
 3:市場状況からの要請
 4:売り場からの要請
 5:(仮想)ユーザー(の生活)からの要請
 6:クライアント社内の事情からの要請
 7:製作組織の状況からの要請
 8:一製作者の思惑からの要請

もともと、5を考えるためのものだったのに、いろいろ考えると、出るわ出るわ、どこから手をつけたらいいのか、まったくわからない混沌状態に突入し始めた。

■2002/5/8 【ニッチ】
昨日は本の紹介日だったが、気分的にテンション高めのトークができなさそうだったので、番外編にした。
『テレビゲーム 電子遊戯大全』テレビゲーム・ミュージアム・プロジェクト編
を持って行き、ちょっと説明。反応はとくになし。
でも長期の休み明けでいきなり大げさなことを聞かされるより、こっちの方でよかったような気がする。
次回作も今のところ、アドベンチャーゲームになりそうな気配。
クライアントの社内の事情というか、他の売れ線のジャンルは一通り押さえているチーム(あるいは部署や外注先)があるので、ニッチを探すと必然的にそうなってしまう。
しかし、アドベンチャーでミリオン狙うのは難しいよなあ…。
今のところ、僕が最強だと思っているアドベンチャーゲームは、最近カプコンから発売された『逆転裁判』なんだけれど、これ、ファミ通で見た限りでは3、4万本しか売れていないしなあ…。実際はもうちょっと売れていると思うけれど。
これ、本当に面白いですよ。マジで弁護士気分が味わえます。機会があったら是非やってみてください。
まあ愚痴っていても仕方ないので、がんばります。

■2002/5/11 【おもちゃショー】
昨日、東京おもちゃショーに行きました。
最近のヒーローはすごいですよ。
もう、ストーリーとおもちゃの商品展開が完全に融合しているんです。
しかも、近年の少子化傾向が如実に反映されています。
最新戦隊ものの『ハリケンジャー』を例にとりましょう。
まず、主人公であるハリケンジャーの“ライバルチーム”があるんです。「ゴウライジャー」といいます。
当然、ロボットもそれぞれいますし、武器もそれぞれにあります。
これで、おもちゃを倍売っていくことができます(実際にはそううまくいかないんでしょうけれど)。
この2つの戦隊、今は仲が悪いらしいんですが、今後、敵の猛襲を受けて“共闘”することになるそうです。
はい、そうです。
こうくれば、当然、2つの戦隊の武器やロボットは合体しますよね(笑)。
しかし! この2体のロボットの合体には、特殊なメカが必要なんです!
これでロボット商材は3倍に!(笑)
この3つを買えば、実際に、合体巨大ロボになるらしいです。すごいなあ。
元バンダイ社員の社長の話では、たぶん11月くらいに、ロボットがやられるかなんかして、もう一回くらい新メカがでてくるだろうということでした。
…そうですね。クリスマスですからね(笑)。

それ以前に、設定としても、「ハリケンコイン」というのがあって、これをロボットの操縦席のスロットに入れ、ハンドルを回すと…
なんと、ロボットの胸が開いて、中からカプセルが出てきます!
カプセルがパカン!と開くと、中から強力兵器が!(笑)
これで敵の巨大怪人をやっつけるわけですね。
いやあ、すごいなあ。ガチャガチャで敵をやっつけるなんて。
それだけではありません。最近のハムスターブーム、これを逃す手はありません(笑)。
主人公たちのボスは、なんと、老人語を話すハムスターなんだそうです。
昔、デンジマンでチャウチャウがボスというのはありましたが…。

次回は仮面ライダーについてお話します。

■2002/5/12 【仮面ライダー】
現在放映されている「仮面ライダー龍騎」。
これもすごいです。まず、ライダー自体がたくさん出てきます。
昔、仮面ライダーブラックで敵のボス格にライダーの別バージョンがいましたが、そういう位置づけではありません。
同じ敵と戦うライバルとして出てきます。でも、これはちょっと前からの定番みたいですね。

それはともかくとしても、今度のライダーはスゴイですよ。
腕に“カードリーダー”がついているんです。
で、ピンチになると、サッとカードを取り出し、カードリーダーにセットします。
するとそのカードの内容が読み込まれて、亜空間から必殺武器が転送されてくるんです。
それで怪人を倒すというわけですね。
当然、おもちゃでも、まったく同じ機構が再現されています。
というか、おもちゃとしてイケてそうなものに、最初から設計されているわけですね。
そして、そのカード(アドベントカードといいます)は、いろいろ発売されている武器にそれぞれ数種類ずつ付属していて、全部買わないと全て集まらないようになっています。
いやあ、僕はこれを見て、「ああ、これ10年前に見たかった…」と思いましたね。
学生時代、そういう特撮映画を撮るサークルにいたもので(笑)。
コレ見てたら、絶対、さらにイケてそうなおもちゃを装備したライダーを考えたのに…みたいな(笑)。
いや、10年前に今日のコレを予測して、そういう映画を撮って、おもちゃの企画書と一緒にバンダイの面接に持っていったら、入れたかも知れないなあ…とか(笑)。
まあその当時、バンダイにはいい印象持っていなかったので、それはしなかったと思うんですけれど。
今は、この徹底っぷりとか、元バンダイの人と一緒に仕事をする機会がよくあって、その人たちが総じて頭の回転が速いので、わりと良い印象を持ってます。
このカードのアイデアも、最初、宇宙刑事シリーズ向けのアイデアだったらしいんですが、「宇宙刑事よりも、仮面ライダーの方が市場が大きいから、そっちにしろ」という判断で、こうなったらしいです(笑)。

■2002/5/14 【スポーツとしてのロボット】
昨日やっと「バーチャロン副読本 スキマティック」の紹介を終えた。
反応があまりなかったと思っていたが、あとで「今回ので面白かったのが、“兵器としてのロボット”のあとに、なんかいきなりロボットがスポーツみたいなものになってたことですね」という感想をもらった。
そう、そうなのだ。そこはかなり飛躍していると、僕も前の日に原稿を書いていて改めて思った。
“祖形(鉄人28号)”→“ヒーローとしてのスーパーロボット(マジンガーZ)”→“兵器としてのロボット(ガンダム)”ときて、そのあとに来るのは“エヴァンゲリオン”じゃなくて、“自分を表現するためのツールとしてのロボット(バーチャロン)”なんだ。とこの本でディレクターの亙重郎氏は言っている。
やっぱりこれって、スポーツなんですよね。
そういえば、バーチャロイドの足ってバッシューみたいだし、全体の色使いなんかも、スポーツのユニホームみたいだしね。
そこの飛躍が確認できたというのが収穫だ。で、たぶんあのディレクターはそこを飛躍とも思わず堂々と言ってたんだなというのも面白いし、富野由悠季氏がそのバーチャロンを見てくやしがったというのも面白い。
それと、今日、昼休みにその本を読んでいる人がいたのが、ちょっとうれしかった(笑)。

そういえば、先日の仮面ライダーは、たくさん出てくるだけじゃなくて、ライダー同士で殺し合いをやってるみたいですね。
やっぱりすごい。

■2002/5/20 【会社が無職でいろいろ…】
今日は田尻智 著『新ゲームデザイン』の紹介をやった。
結果は笑いも少し取れたし、まあまあの反応だったかなという感じ。
しかし、この次の次に紹介しようと思っていた『絵画の読み方』が、パラパラめくり直してみたら結構高度な内容だったので、ちょっと心配になってきた。
まあなんとかなるか…。

■2002/5/27 【弛緩】
『荒俣宏の図像学入門』を紹介。
最近、本紹介の準備をするのが毎回前日の夜中になってしまっている。
どうも弛んでいる。仕事もそうだけれど。
しかし、僕が後悔しまくりの受験勉強の中で学んだ自分の特性が、「集中力を高めようとか考えている間に、とにかくだらだらでもいいからやった方がいい」だった。
継続は力なりとは思わない。一流と三流の壁は厚い。長期だらだら型では乗り越えられない部分は多いと思う。
「やらないよりマシ」が今のところ僕の唯一の原動力です。
本紹介は他人を相手にするものなので、そういうものを見せられるのは迷惑かも知れないとも思うけれど。


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 日本偽現実工学会会報 [The Bulletin of Japanese Fake Reality Engineering Society]
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