WAX
蜜蜂テレビの発見
WAX or the discovery of television among the bees

「WAX−蜜蜂テレビの発見−」は、デビッド・ブレア(David Blair)氏が1991年に制作した長編映画である。
ノンリニア映画の先駆的作品であり、世界中で高く評価されている。日本では、1992年に劇場公開された。現在、この作品はUPLINKから発売されているビデオ版で見ることができる。ビデオは、青山ブックセンターなどの大型書店のアートシアター系映画のビデオ売り場で手に入れることができるだろう。

舞台は米ニューメキシコ州のアラモゴード。主人公はコンピューターシステム会社でミサイルの照準ディスプレイのプログラミングを仕事にしている男である。ある日、男が自分の家の裏庭で飼っているメソポタミア系蜜蜂を眺めていると、蜜蜂によってこめかみに水晶体を埋め込まれる。それは蜜蜂テレビというべきもので、男はその水晶体を通してグロテスクな幻想に包まれてゆく、という内容である。ビデオ映像、記録映像、そしてCG映像がこまぎれにミックスされた映像の上に、ナレーションが延々と続くというスタイルになっている。

この映画は、内容の特異性もさることながら、その作り方の特殊さでも話題になった。作者のブレア氏は、まず素材となる映像を作り、それをコンピューターによるノンリニア編集で編集しながら、同時に脚本も書き上げてゆくという方法で、6年間かけてこの映画を作り上げたのである。これにより、映画の内容自体もシュールかつ変幻自在で、幻惑、混乱させられる、全く新しい異質な作品に仕上がっている。


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