ここでは、ノンリニア作品制作の現状を、某ゲームソフトメーカーの企画担当者に伺った。

*「現在私は、歴史もののテキストアドベンチャーゲームの制作に携わっています。これは、チュンソフトの『弟切草』から始まった、ノンリニア・テキストアドベンチャーゲームの流れの末端に位置するものです。シナリオの執筆は、3人のプロのシナリオライターの方にお願いしました。普段は主にドラマなどの脚本を手がけている方々で、ゲームのしかも分岐のあるシナリオというものは始めてだということでした。しかし、いつもの台本書きの延長線上のリニアな書きかたをする方と、分岐のあるゲームのシナリオだということを意識して、新しい書き方をする方とに分かれました。
リニアな書き方をする方は、まず一本メインの話を書き、途中に設定した分岐の話を後で書き足し、メイン戻りのダミーにするか、ゲームオーバーにするという書き方をされていました。
それに対し、ノンリニアな書き方をした方は、まず大まかな全体像を設計し、その後いくつかの独立したエピソードをモジュールとして書き、最後に、選択肢の リンクでそれらを結合しながら、エピソードを書き足したり肉付けしてゆくという方法をとったそうです。さらに話の枠組みも、最初からノンリニア的な書き方がしやすいような設定にしてありました。後で話を伺ったところ、迷路を作っているようで楽しかったという話をされていました。ノンリニアな物語の特性をかなりよく研究して作っておられたので驚いたのですが、その分原稿は一番遅れていましたね(笑)」


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