空テープの声

はっきりした音を何も入れずに録音したテープには、説明のつかない声が入っているようだ。と「裸のランチ」などで知られるアメリカの作家ウィリアム・バロウズはエッセイの中で述べている。しかしこれは、彼自身が実験したわけではなく、心霊現象の本に書いてあったことに対しての言及だ。以下にその部分を引用してみる。

はっきりした音を何も入れずに録音したテープには、説明のつかない声が入っているようだ。
「声現象は、テープレコーダーとマイクを普通にセットして、新品のテープを使って得ることができます。録音中には実験者は何の音もたてず、また外部からも何の音も聞こえませんでしたが、再生すると、出所不明のかすかな声が録音されていたのです」(『心霊現象ハンドブック』、オストランダー&シュレーダー社、1975年)。
音声ダイヤグラムと声紋によって、それが本当に録音されている声だと確認された。一番申し分のない種本は、コンスタンチン・ローディブによる『突破口』(タプリンガー出版社、1971年)である。

     『バロウズという名の男』 W.S.バロウズ(著) 山形浩生(訳) ペヨトル工房 1992年発行 より引用

何もない空間で、何も入っていないテープを回すと、何か得体の知れない情報が捕捉できるというのは凄いことである。この方法を使えば、空気中の未確認情報を捉えて遊べるものが作れるはずだ。空気中の微妙なノイズをわりといい加減なパターン認識にかけ、強引にメッセージとして受け取って表示する「霊界メール」とか、「ゴースト探知器」とか、夢は膨らむ。商業的にもヒットが見込めると思うのだが、どうだろうか(どうだろうかと言われても困るか…)。


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