こっくりさん

こっくりさんとは女子小中学生の間でしばしば行われている、占いあるいは降霊ゲームの一種である。場所によってエンジェルさん・キューピットさん・トックリさん・ポックリさんといった別名で呼ばれることもある。
50音とYES/NOを書いた紙に硬貨を置き、そこに複数の人間が指を乗せて質問をすると、硬貨がひとりでに動き出して質問に答えるというものだ。
もとは西洋で行われていたウィージャー盤という道具を用いた降霊ゲームの一種で、明治期になって日本に入ってきた。こっくりさんの「こっくり」とは、もともとはうなずきを表す擬音から来ていると言われるが、その後、この音に「狐狗狸」という漢字が当てはめられ、動物霊によるお告げだという説が広まるに至った。
これは、かなり直接的な異界との通信方法である。
“異界からの得体の知れない力でメッセージが伝わって来る”という共通認識が、硬貨の動きによって作られる言葉に匿名性を与え、さらに複数の人間が硬貨に指を添えるというルールもそれに拍車をかけるようになっている。
そこはプレイヤーの無意識が流れ込みやすい空間だ。普段では周囲の目や社会的制約が抑圧して表に出てこない感情や思考が、匿名性の力によって表に出てきやすい状態になるからだ。 そして、もともと異界との交信の目的というのは、そこにあったのではないだろうか。
息苦しい日常から自由になる手段としての異界との通信。それは、狐付きや憑依などの現象や祭祀における儀式にも共通した特徴である。


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