■ノーライフキング
『ノーライフキング』は1988年に新潮社から出版された小説である。著者はいとうせいこう。折りしも、奇妙な噂が子供たちの間を駆け巡り、同時にファミコンブームが最盛期を迎えていた年である。
そんな中で、現実とゲームの世界が入り混じり、逆転してしまうというセンセーショナルな内容が人々の関心をつかみ、この小説はベストセラーとなった。
今回、異界特集を組むにあたり、“異界とゲーム”あるいは“異界と裏技”というテーマを考える上でこの作品は外せないだろうと考え、ここに取り上げることにした。
しかし、この評論ができあがるまでに異界特集の掲載から3年以上もかかってしまった。

■サイファ 覚醒せよ!
  
『サイファ 覚醒せよ!』
2000年 筑摩書房発行 1600円
著者 宮台真司 速水由紀子

■噂
実際、1980年代初めから中ごろにかけて、子供たちの間でさまざまな噂が乱れ飛んでいた。
筆者はその当時小・中学生だったので、リアルタイムにその噂を体験した。
かなりのリアリティがあった。
なにしろ、マスコミではまったく流れていない情報が、ある日、まわり中みんなに当たり前のように知られているという状況になっているのだから。
“社会”というくくりを形成しているのは、マスコミの力だ。
だが、そこに乗らない情報(なおかつ真偽の確かめようもないような情報)が、猛スピードで知れ渡るのである。
社会の外側に、なんだかよくわからない世界が突然出現したような感覚だった。